人新世のあり方は?2021年09月03日 19:09

昨晩放送されたBS11の「報道ライブ」というインタビュー形式の報道番組に、自民党の石破茂氏と最近新書大賞に選ばれた『人新世の資本論』の著者斎藤幸平氏が出演すると聞いて録画して観た。両者の立ち位置は大きく異なるが、地球的規模で進んでいる金融資本主義への本質的な懐疑という点で一致していて、そこでは真っ当な議論がなされていた。
 気候変動が人類の果てしない欲望に根ざした経済成長により引き起こされていることは間違いなく、近い将来環境の悪化による水や食べ物の資源不足が地域紛争へと繫がる懸念もある。判断できない為政者の元で低い食糧自給率を続けるこの国が、わざわざ国際的に孤立するような差別主義に犯されていることも心配だ。
 “核抑止力”などという幻想で“安全保障”を語りながら国家予算を食いつぶしかねない武器購入の実態も大きな問題だが、目先の“稼ぎ”と“儲け”しか見えない「資本家」からどのようにコモン(公共財)を取り返すかを次世代に託す時期はもうとっくに過ぎているような気がする。
 コロナ禍の1年半、生活必需品と本以外はオンライン講座やクラウドファンディングなどへも家計を費やしてきたが、あらためて大量生産・大量消費の“みっともなさ”を考えるようになった。過度にネットに頼らず、身近で持続可能な小さな試みを続けてみることこそ、コモンの芽吹きにつながるように思う。