長短の響き2021年07月15日 12:23

先日購入した日めくりカレンダーに韓国の伝統楽器チャング(장구:杖鼓)が載っていた。Facebookを始める前、語学教室のSNSにチャング奏者ヨン・ミンチ氏の生演奏を聴いたと書いたことがある。もう9年近く前のことだ。その時は、経堂にあった茶房李白という名の古民家カフェの小さな空間で、即興を中心とした超絶技巧を堪能した。
 チャンダン(장단)と呼ばれる独特の拍子を刻み、農楽を始めとした韓国の伝統音楽に欠かせない楽器なので、その後も様々なところで生音を聴いているが、昨年、国立能楽堂の能舞台でも初めてその響きが披露された。本年末には、多田富雄の新作能『望恨歌』で聴けることになりそうだ。

支えになるモノ2021年07月16日 12:25

港北国際交流ラウンジ日本語教室の1学期が終了した。4月8日の初日こそ対面で行ったが2回目以降は全てZoomによるオンラインレッスンに切り替えた。13回にわたり書き続けた学習者の作文が少しずつ良くなっていくのと逆行するように、その間、日本社会での言葉に対する信頼は確実に失われつつあるように見えた。そうした態度が顔に出ないよう、努めて明るく振る舞って対応してきたつもりだが、もしかしたら、それは自分自身への支えになっていたのかもしれない。
 学習者が書いた作文に応じて読解用の資料をWebで探す中、いつしか萎えそうになる実社会への関心を呼び覚まされている感覚もあった。それは、このところ毎日1枚ずつめくる世界中の「モノとイトナミ」に誘われるように感じることと同質だ。
 今日、ようやくワクチン接種の1回目を最寄りの医院で済ませた。経過は良好でまだ何の違和感もない。もう少しだけ、世の喧噪とは離れた雌伏の生活を送りながら、動き出す機会を待つことにしよう。

同じ分裂反応か?2021年07月17日 12:27

IOCの会長だかなんだか良く知らないが、偉大な音楽家と同じ名前らしい人物が昨日広島を訪れ「平和に貢献したい」と述べたという。7月16日と言えば、76年前にアメリカのニューメキシコ州で原子爆弾による核爆発実験が行われたその日である。以後、広島・長崎に落とした2発を含め、人類が何度でも滅亡するほどの数の核兵器が分裂反応のように世界中へ拡がった。
 折しも、“デルタ株”を初めとする新型コロナウィルスの変異種が世界中を席巻している時なので、上記発言は、あたかも核分裂反応のように次々と連鎖していく感染の拡大に「貢献したい」という意味かと誤読した。そういえば、今準備が進められている“強者(驕奢?)”スポーツ大会は、全電源喪失を軽視した原発事故による放射能の“拡散”被害を含む震災の復興を目指していたのではなかっただろうか。
 ここにも歴史から何も学ばない事例を見る。

繰り返し読む詞章2021年07月17日 12:28

過日オンラインで鑑賞した新作能『沖宮(おきのみや)』公演は、後日アーカイブを字幕付きで視ることができたので、その詞章全文を“打写”(キーボードで打って写)し、その後、何度か繰り返し読み直している。石牟礼道子と言えば『苦界浄土』や『椿の海の記』が有名で、水俣湾をめぐる山海の見事な自然描写がすぐに思い出されるが、能『沖宮』は島原の原城跡が舞台だ。ただ、天草四郎を初めとするキリシタンや、子方が演じる雨乞いの人柱“あや”の出身である天草下島の印象も強い。それは、島の西方に大きく拡がる大海(東シナ海)が海の“億土”のように思えるからでもある。
 “あや”が身につける緋色の装束は、天草下島の女房たちが一針ごとに涙を流して縫ったもので、そこには虐殺された近親者に向けた鎮魂もあるし、あるいは流された血の色にも似るが、やはり、西方遙かに竜神・竜女が住む沖の宮へとたなびく緋色の雲を連想してしまう。
 そして、その明かりは衆生が住む常世に向けられた一灯なのかもしれないと考えている。いつか『春の城』を読んで見たい。

某運動会音頭(2021年版)2021年07月21日 12:30

あぁ~
あの日南米で 決まった事が
(それ なんだっけ)
今日は都で 開かれる
(お ちょいと)
一年たったら できるでしょと
難い約束 夢じゃない
ほいさ あれ 夢じゃない
運動会の 顔と顔
それ ごほんとごほんの 顔と顔
あぁ~
支度送れて お後の祭り
(それ なんだっけ)
北の国から 南から
(お ちょいと)
西の空から 東の海も
超えて日本へ どんときた
ほいさ あれ どんときた
運動会の 枯れ姿 
それ ごほんとごほんの 枯れ姿
あぁ~
波も次々 かぞえりゃ五つ
(それ なんだっけ)
むせぶ顔みりゃ 痛む胸
(お ちょいと)
すがた形は ちがっていても
いずれおとらぬ 変異株
ほいさ あれ 変異株
運動会の 庭に咲く
それ ごほんとごほんの 庭に咲く
あぁ~
きみがうつせば わたしは熱い
(それ なんだっけ)
夏の盛りの 炎天下
(お ちょいと)
音を鳴らして 各会場に
とんでくるくる 救急隊
ほいさ あれ 救急隊
感染増えたと きょうの数
それ ごほんとごほんの きょうの数
*特定のメロディを付けて高吟することはおやめ下さい。^^;