視聴者への裏切り行為2022年02月12日 21:46

毎年秋頃にNHK-BSで放送される「ザ・ベストテレビ」というベタな名前の特集番組があります。これは、前年度に各種の番組コンクールで最高賞を受けた「ドキュメンタリー番組」を、NHK・民放問わず全編まとめて放送する貴重な機会になっています。
 今までに、私が個別に録画予約をして観たものの中から、この特集番組で再放送されたものをいくつも知っています。たとえば、NHKスペシャル『封印された原爆報告書』や関西テレビ『みんなの学校』、琉球朝日放送『裂かれる海』、名古屋テレビ『防衛フェリー』、ETV特集『静かでにぎやかな世界』など、多くの知見を得た番組が改めて高く評価されることをうれしく感じていました。
 その「ザ・ベストテレビ」に、近年続けて作品を登場させている番組枠があります。NHK-BS1で放送される「BS1スペシャル」です。NHK内ではなく、外部プロダクションが制作主体となっているものが多く、受賞作品にはテムジン・椿プロ・アマゾンラテルナ・えふぶんの壱など錚々たる映像制作会社が連なっています。
 そうした実績ある番組枠の中に“悪意を持った低劣な表現”を持ち込み、これまで積み重ねてきた「ドキュメンタリー番組」の歴史的な意義を、NHKは自ら裏切りました。今回の一連のできごとは“不始末”という言葉でくくれるものではありません。そこには、番組から切りとられた数カットを見ただけでも、放送に関わる多くの人間が気づくほどの“政治的な意図”を見いだせます。
 また一歩、視聴者の信頼が崩れていく様を見なければならないのはとても悲しいことです。

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