『望恨歌』の詞章と舞2021年12月26日 21:36

望恨歌(その2) そういえば「望恨歌」という“演題”を初めて聴いた時から、繰り返し“忘恨歌”という文字列が頭に浮かびました。漢字変換の学習のせいか文字を打ち間違えることはないのですが、芸能に通じていなければ“望”月は連想できません。それでは“恨”を遠く望むのでしょうか。そのたびに、主催のどなたかに尋ねようと思いながら、すぐ忘れてしまいます。詞章の一部では、「真如の月」の下、“恨”を「忘れじや忘れじ」というシテの台詞にワキが応じます。たしかに、物着(ものぎ)で舞った“恨の舞”は記憶に深く刻まれる荘厳さに満ちていました。
 それは、今も「忘れさせよう」とするものへのメッセージに聞こえます。