変哲忌に想う2021年12月11日 21:29

今日(正確には9日)は変哲忌。70年代半ばの就職してまもない頃、給料の半分以上を親に渡していたので遊ぶ金が無く、名画座のハシゴばかりしていたが、年に2回だけ贅沢をした。紀伊國屋ホールで上演される「芸能座」の舞台を欠かさず観に行っていた。故小沢昭一が立ち上げたこの劇団は、年季勤めのように活動期間を5年と区切り、「こまつ座」旗揚げ前の井上ひさしを始めとする様々な書き手によって、“社会批評的”な9作品(全10回公演)を世に出した。二十歳そこそこの若輩が、そこから何を読み取れたかは良く覚えていないが、ただ夢中になったことはしっかり記憶している。中年御三家にも関心が無く、「~的こころ」も聴くことはなかったが、小沢昭一という人は「昭和ひとケタ世代」を代表する“先達”の一人として、その後の私の“怪しげな”人文への関心を開いてくれた恩人だったような気がする。合掌。