ベートーヴェンの音楽2020年01月30日 22:56

ハンガリー生まれのピアニスト“アンドラーシュ・シフ”と、彼の要請で集まるという特別編成の室内オーケストラ“カペラ・アンドレア・バルカ”によるベートーヴェンのピアノ協奏曲演奏会の録画を視聴した。放送は正月の5日でもう3週間以上も前だったが、ベートーヴェンのピアノ協奏曲2曲分+αで100分近い演奏を聴き続けるのは簡単ではない。やっと気持ちの余裕が生まれたということだ。番組内でシフにインタビューしているのは、映画『戦場のピアニスト』で主人公を助けるドイツ人将校ヴィルム・ホーゼンフェルトの生涯を描いた本を昨年日本語に翻訳した高田ゆみ子さん。事前に番組の案内をもらった。
 私は、オーケストラによるクラシック音楽を生で聴く習慣がない。就職したばかりの頃、旧渋谷公会堂で公開録画されていた『題名のない音楽会』の観覧に応募して良く聴きに行ったが、民族音楽に関心を持つようになってからは、大編成のオーケストラというものが苦手で、ソロや小編成の音楽をもっぱら聴いてきた。自分で買ったクラシックレコードもごく限られた作曲家と演奏家のもので交響曲は一つも無いし、ピアノ協奏曲といえば映画音楽に使われたごく有名な作品しか知らない。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番の冒頭を聴いたことがあるように感じるのは、その昔、音楽番組のポスプロ作業にたずさわった経験からだろうか。実は、繰り返し出てくるあの“トレモロ”が昔から苦手なのである。
 そんな素人だが、素晴らしい演奏であることはわかる。ひとつは共演する“カペラ…”との一体感がとても強い。正面やや斜めに置かれたピアノを中心にして、古典派音楽で良く採用される対向配置という楽器の編成になっている。下手(しもて)から第1バイオリン・チェロ・ヴィオラ・第2バイオリンという並び。コントラバスが左右に振り分けられている。金管・木管も6種2本ずつで、全体的にコンパクトなもの。他はティンパニだけだ。それでも我が家の疑似サラウンド(デジタルステレオ変換)で聴いたまとまりのある音響はとても豊かだった。
 だからというか、ベートーヴェンの音楽はやはり重く感じる。決して悪い意味ではないし、楽曲形式などもよく解らないのだが、“協奏”というよりは“交響”曲に感じてしまう。難しいものだ。幼い頃からこうした音楽に触れる環境にあればまた違うものなのだろうか。ただ、久しぶりにクラシックを聴いたせいか、何やら丸まった背が伸びるような感覚があった。これも音楽の一つの働きなのだろう。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://amiyaki.asablo.jp/blog/2020/01/30/9210056/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。