漢字がとりもつ国際交流2020年01月31日 22:59

ベトナム人の日本語学習者と会話を行うと、ごく一部ではあるが、漢字を媒介とした文化交流が成立する。たとえば数字の呼び方。漢字由来の中国語音に近いものと、その国独自の数え方の二種類がある。また、人名が氏名の順であること、漢字に置き換えられるところも似ている。ベトナムでは“死”につながる4階が無くて2階の次は3A階、3B階、5階と続くアパートがあったり、“失”につながる7も嫌われる。一方で、“久”や“発”など永遠や繁盛につながる9や8が喜ばれるという。縁起の良い数字を組み合わせた番号が好まれるところは良く似ている。
 さらに、伝わってきた時代の漢字の発音をその都度採り入れて、今に至るも使い続けている日本の場合と違い、ベトナムでは“音読み”にあたる中国語音由来の読み方は1種類しかないようだ。先日知ったばかりなのだが、韓国・朝鮮語にもハングルに置き換えられた膨大な漢字語の中に、同じ漢字で読みが異なるものが散見される。もちろん、近代以降に使われるようになった漢字語の中には日本で作られたものも多いので、その影響が残っている部分もあるのだろう。
 ベトナム語に関しては日本語学習者から仕入れたネタなので、私の誤解があるかもしれないが、同じ漢字圏でも様々な受容や展開があるのは本当に面白い。“単一”がどうとか言っているバカにこの多様性は理解できないだろう。