異界の声を聞き、常世の歌を聴く2019年07月29日 16:38

東京自由大学での連続講座『異界の声、常世の歌』が終わった。“声”や“歌”について、日常的に実演やフィールドワークを行っている人々を講師に迎え、口演・講義と対談で毎回様々な視点からそれらを考えてみようという異色の講座だった。
 内容は非常に富んでいて、ここにまとめる余裕はないが、三回通して聴いたことで、“ワザオギ”や“憑依儀礼”・“哭きうた”のような身体性と切り離すことができない“声”や“歌”の捉え直しが、同調圧力の強いこの時代にこそ、求められなければならないものであるように感じた。
 そして、表題に付いている“異界”と“常世”という言葉が、どこか遠い世界の話ではなく、たとえば「草葉の陰」や「パラレルワールド」のような、体感を伴う日常的な身体の変化や感応の中にこそ、本来あるものであって、それを生み出す豊かな精神性を表面的には失ったものの、深層で触れ得るものとして今も現代人の中に残っているのではないかと考えることができた。
 この数週間、朗読の講座に出かけたり、能の体験講座を受け始めたりしているのは、自分の中にもわずかに残っているだろう原初の“声”や“歌”を探し当てたいという希望がそうさせているのだと、ひとり納得している。

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