世界が立ち上がる読み方2019年07月30日 16:40

3週連続で受講していた「基礎から学ぶ朗読講座」が終了した。昨年ぐらいから朗読の講座を探していたが、日程が合わずなかなか見つけられなかった。今回は火曜午後という都合の良い時間帯で集中的に受けられるということもあって、目白台にある日本女子大学の生涯学習センターに通った。副都心線雑司ヶ谷駅から近いので大倉山から乗り換え無しで行ける。都心の雑踏を歩くのがいやなので、これはとても助かった。
 “女子大”の生涯学習講座であり、なおかつ“朗読”ということで、「読み聞かせ」を考えている女性が圧倒的に多かったが、初回は5人ほど、最終回も3人の男性が参加したので、いわゆる「黒一点」のようなことにはならなかった。講師は秋元紀子さん。“声”のプロである俳優への指導も続けている人だ。人気があるようで定員を大幅に超える人数だったが、“声”を出すための基本的な身体の作り方をわかりやすく説明した上に、具体的なウォーミングアップの手順を繰り返し行ってくれたので、その“感覚”を知り覚えることができた。
 テキストは安房直子の「ほたる」という作品。日本女子大の卒業生だという。ステレオタイプではない、つまり予定調和に終わらない作品が多いようで、読了した後の余韻がずっと続く。作者が創る幻想的なイメージをどのような“語り”で再現するのか、とても難しい作品とも言える。
 それでも、繰り返し読んでいくうちに、ようやくその世界が少しずつ自分の“内”に立ち上がってくる。そうなって初めて人に聴かせるための“心”も芽生える。それを積み重ねた上に、ようやく、身体を通した“内なる声”で、その世界を解放してゆくことができるようになる。そんな気がした。

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