活きるデザイン2019年03月29日 11:55

デザインということを時々考えることがある。
 この3月16日から東横線のダイヤ改正があり、大倉山駅で新しいミニ時刻表を配布していた。どこかで見たデザインだと感じたが、すぐに気が付いた。これは駅のホームに掲示されている大きな時刻表をデザインそのままに縮小印刷したものだった。東横線は、北は副都心線経由で西武・東武への直通運転があり、南は“みなとみらい”線につながるため、行き先・終点は多様だ。ところが、配布されていた小さな時刻表に印字された行き先の文字は老眼の進んだ目に“点”としか見えない。
 これはおそらく、従来外部でデザイン・制作していた時刻表の製作を、内製するようになった結果ではないだろうか。駅のホームに掲示する時刻表のデザインをどのような設計事務所に依頼しているのかはわからないが、そもそも実物においても一応読めることは読める程度の大きさのフォントを、そのままの体裁で縮小すれば、“点”のようになるのは当たり前で、コスト削減の結果としてミニ時刻表の利用価値が大いに減じられている。
 最寄りの路線を主に通勤に使うだけだった頃は特に気にもしなかっただろうが、退職して新宿三丁目や池袋、その先の小竹向原や石神井公園へ足を延ばすことが増えた今、毎回虫眼鏡を使って確認するのも業腹(ごうはら)なので、思い切って自分で作ってみることにした。冷蔵庫の横に貼って都度確認するためでもある。
 せっかく作るのだから、感覚的にわかりやすいものにしたいと考えて、行き先表示の大きさにとどまらず、各時台の時間軸を揃えてみた。そうして自家製時刻表を作ってみると、鉄道会社が把握している混雑度(乗客利用頻度)が非常に良く見える。それがどうしたと言われれても返す言葉はないが、巷に溢れる“人にやさしい”というフレーズとその意味をもう少しデザインにも採用してみてはどうかと感じた次第である。
 とりあえず、これで次回のダイヤ改正までルーペは必要ないようだ。