神道はどのように生き延びてきたか2018年07月09日 14:11

 「東京自由大学」が主催する島薗ゼミが終わった。「神道はどのように生き延びてきたか」をテーマに上智大学の島薗進先生が解説するわかりやすくて深い講義だ。今期の3回は「国つ神の系譜」・「神仏習合と神々の地位」・「神道教説の形成」という副題だった。“神話”の中に伊勢と出雲の対抗関係を記した意味。古代の祭祀システムと本地垂迹(ほんじすいじゃく)による神々の権威強化。霊威神の系譜と特徴。『神皇正統記』が説く正理(しょうり)と上下それぞれの規範。宗教メディアとしての吉田神道。免罪符としての神道裁許状などなど…。
 アニミズムや自然崇拝も取り込みながら、時にいかがわしく、時に生真面目に、時に権威をかさに、時に仏に準じ、融通無碍(ゆうずうむげ)に生き残ってきた神道を理解することは骨が折れる。それゆえ、逆に面白いとも言える。“世界に冠たる”などと唾を飛ばしながら創られた物語に隷従するのではなく、時代毎の様々な対応を経ながら生き延びてきた希少種としての宗教を個人の集合のゆるやかなモデルとして考えてみることは、日本人の精神性を活かしたコミュニティの今後のあり方にヒントを与えてくれるかもしれない。そんな感想を持った。

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