何のための祈り?2017年01月05日 23:10


 年末年始はあまり出かけることなく過ごしたので、昨日、散歩がてらに近隣の神社を廻ってみた。ひとつには、昨年大きな話題となった“憲法改正署名”のたぐいが行われているのかに少しばかり関心が向いたせいもある。

 政教分離を真っ向から否定するような行いを、氏子からも指摘されたのかどうかはわからないが、今年は三が日までその手の情報はまるで聞かなかった。あるいは既にpost-truth傾向を確認するに十分な感触を得て、表だったことはもう止めたのかもしれない。

 さて、先進国の排外意識の高まりが、自由な政治体制の後退を余儀なくしつつある現状を見ると、今年あたりは歴史の大きな分水嶺になりそうな気がして、小生も思わず手を合わせたくなる心持ちになった。

 実は、年明け早々、JMOOCのある講座の最終レポートにもこう書いた。「(前略)そうした状況で、私としては、NPO法人や国際交流協会など身近な日本語教育機関を通じ、いずれ本国に帰るであろう留学生への日本語指導を行っていきたい。偏った礼賛を求めるのではなく、戦後の日本が指向してきた国際協調を共に進める若い人々への学習支援こそ、本当の信頼関係を結ぶ一歩になると思うからだ」

 ということで、“師岡熊野”、“菊名”、“八杉”と三つ廻った内では、多少なりとも海外と関係がありそうな氏神様に拝んでみた。菊名から新横浜へ向かう途中にある八杉神社は八王子社と杉山神社の合社だが、元々の祭神の一柱には五十猛命がいるらしい。高天原から木種を持って韓国に下り、蒔かずに日本へ渡り緑豊かな森を作ったとされる古代の逸話に出てくる神様だ。渡来人を遙かに偲ぶような由緒が港北国際交流ラウンジに最も近いのもきっと何かの縁だと勝手に考えている。

 夕闇が迫り、提灯に照らされた拝殿が何となく神々しく見えたと言ったら、とんだ罰当たりかもしれないが、私の他には、この近くに住んでいるらしいカップルが暗い中を何やら熱心に拝礼した以外、しばらく人気がなくて、静かなたたずまいだった。

 寒風に 社見おろす 宵の星