手作りの能2021年12月31日 21:48

望恨歌(その8) 最後は当日配られたパンフレットについて。能や浄瑠璃の公演で詞章(劇の台詞)の印刷物を配ることは良くありますが、内容に並走するような解説を含め、詞章全文とその韓国語訳まで付けてあるパンフレットは珍しいでしょう。保立先生の「おはなし」のプリントアウトも挟み込んであって、観劇用の情報を満足しながら、記録としても優れたものに仕上がっていました。2ヵ所の間違いを前の晩にシールを貼って訂正したのは同人の奥津さんだったそうです。天籟能らしいエピソードに溢れています。
 最終ページの韓国語訳は趙倫子・姜信子のお二人。昨年出た『海女たち』(新泉社)の共訳者です。ワキの最後の台詞「이 원통함을 어찌 하랴. 어찌 잊으랴 원통하여라.」が響きます。
 そして、みんな繫がります。