東アジアを結ぶ「のうがく」2021年12月23日 21:31

明後日の国立能楽堂公演『望恨歌』のワークショップ最終回にオンラインで参加した。
 前半は詞章の間に組み込まれる農楽と農夫歌・喪輿ソリの紹介があり、当日も舞台に立つ5名の演者による実演が行われた。説明する神野知恵さんが農楽を習った高敞(コチャン)は、『望恨歌』にも出てくる百済歌謡「井邑詞」の井邑のすぐ近くにある。歌の方は、本番では在日三世のパンソリ唄者安聖民さんが唄う予定になっている。安さんの生声が聴けるのは実に4年ぶりのことだ。
 後半は演出を手掛けるシテ方清水寬二さんの話。多田富雄の新作能にシテ方や演出として深く関わってきた方で、先行する舞台での演出経験などを語った。能舞台以外でも上演されることが多い多田作品をどのように観客に伝えるのかを豊富な具体例で示した。“きれい”に作ろうとするところから、いかに“はみ出して”表現するのか。本番がますます楽しみである。