詩心の音楽家2023年04月04日 19:15

坂本龍一氏が亡くなりました。折に触れて聴いてきた音楽の中に彼の作品が多くあります。中でもLPを買った『音楽図鑑』は忘れられません。処分してしまい今は手元にありませんが、冒頭の「TIBETAN DANCE」の響きは今も良く覚えています。そういえば、YMOでは「東風」が好きでした。
 映画音楽を始めとする劇伴でも素晴らしい作品が目白押しですが、大河ドラマ『八重の桜』のテーマも懐かしいです。モリコーネが『武蔵』のテーマを担当したときに、いつか坂本氏のテーマ曲が聴きたいと願っていましたが、最適な組合せだったと思います。
 坂本龍一の音楽を一言でいうと、それは「詩心」ではなかったかと考えています。クラシックや現代音楽を始め様々なジャンルの音楽要素を組み込みんでなお、人間が持つ感情を“深い”ところから揺り起こす作曲の数々を残してくれました。それは、例えて言えば、万葉集を編纂した大伴家持が詠った春愁三首のように、小さな音を聴き取る能力に一際長けていて、沈む思いも音で解放することができた希有な音楽家だったということです。ご冥福をお祈りします。

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