しあわせのようなもの ― 2023年05月16日 19:26
GWが終わって初めての日曜日。一昨日、雨模様の中を外出してきました。訪ねたのは栄区本郷台「あーすぷらざ」の5階にある映像ホールです。“ごちゃまぜ”と称して続けている伊勢監督の映画会は、今年はちょっと特別なものになりました。「長くは生きられない…」と医者に言われた実の姪「奈緒ちゃん」を撮り続けて30年近く。伊勢さんは、今年50歳になる奈緒ちゃんの「いのち」の記憶をまとめるべく、次回作の上映・制作支援を呼びかけています。今回の映画会もその一環ですが、取り上げられたのは最新作『PascaLs』と旧作『ゆめみたか』という音楽をテーマにした二作でした。
午前中の『ゆめみたか』は今年1月に亡くなった田川律氏を追った2008年公開のドキュメンタリー。音楽評論家で晶文社が出した音楽本の翻訳者としても何度か目にした名前ですが、近年は“歌手”として様々なイベントに関わっていたようで、ひょんな出会いから追い続けることになった伊勢さんの撮った映像が、本人のひょうひょうとした個性と相俟(あいま)って何とも“ゆるやか”な作品に仕上がっています。1980年代に水牛楽団の高橋悠治氏らと共にその名をよく見かけましたが、昭和一ケタ(直後)世代の一人として戦後のサブカルチャー、特に音楽シーンに深く関わった豊富な経験の中には「替え歌」もありました。時代や社会を批評する精神から生まれた「替え歌」を諳んじる姿は、軍歌一色に染められた幼き時代へのアンチテーゼのようでもあり、寺の息子の音楽法話のようにも感じられました。何というか“自由”な雰囲気をまとった人というイメージです。
午後の『PascaLs』は、大編成のアコースティックバンド「パスカルズ」のライブ映像を中心とした構成。こちらは3年前に急逝したチェロの三木黃太氏が抜けて現在は13人。「パスカルズ」の名前だけはどこかで聞いた記憶がありましたが、あのイカ天キング「たま」の知久・石川両氏もメンバーです。そして、もう一人。大倉山駅近くにあった喫茶店「カフェ・グランデ」で生の演奏を聴いたことがあるチェロの坂本弘道氏も参加しています。鋸パフォーマンスも健在でしたが、僚友三木氏が抜けた後だけに、20年前の“はちゃめちゃさ”は薄れているように感じました。それは、チラシにもある「不在という在り方」という言葉通り、三木氏が演奏していたであろう場所の頭上に置かれた白い貝の輪と飛び立つ鳥のオブジェが、楽器を演奏している飛天につながるように見えたことと関係があるのかもしれません。ある人は彼らの音楽に多幸感を感じるそうです。天上の音楽ではありませんが、ライブはきっと映画の副題「しあわせのようなもの」みたいな不思議な空間なのでしょう。
午前中の『ゆめみたか』は今年1月に亡くなった田川律氏を追った2008年公開のドキュメンタリー。音楽評論家で晶文社が出した音楽本の翻訳者としても何度か目にした名前ですが、近年は“歌手”として様々なイベントに関わっていたようで、ひょんな出会いから追い続けることになった伊勢さんの撮った映像が、本人のひょうひょうとした個性と相俟(あいま)って何とも“ゆるやか”な作品に仕上がっています。1980年代に水牛楽団の高橋悠治氏らと共にその名をよく見かけましたが、昭和一ケタ(直後)世代の一人として戦後のサブカルチャー、特に音楽シーンに深く関わった豊富な経験の中には「替え歌」もありました。時代や社会を批評する精神から生まれた「替え歌」を諳んじる姿は、軍歌一色に染められた幼き時代へのアンチテーゼのようでもあり、寺の息子の音楽法話のようにも感じられました。何というか“自由”な雰囲気をまとった人というイメージです。
午後の『PascaLs』は、大編成のアコースティックバンド「パスカルズ」のライブ映像を中心とした構成。こちらは3年前に急逝したチェロの三木黃太氏が抜けて現在は13人。「パスカルズ」の名前だけはどこかで聞いた記憶がありましたが、あのイカ天キング「たま」の知久・石川両氏もメンバーです。そして、もう一人。大倉山駅近くにあった喫茶店「カフェ・グランデ」で生の演奏を聴いたことがあるチェロの坂本弘道氏も参加しています。鋸パフォーマンスも健在でしたが、僚友三木氏が抜けた後だけに、20年前の“はちゃめちゃさ”は薄れているように感じました。それは、チラシにもある「不在という在り方」という言葉通り、三木氏が演奏していたであろう場所の頭上に置かれた白い貝の輪と飛び立つ鳥のオブジェが、楽器を演奏している飛天につながるように見えたことと関係があるのかもしれません。ある人は彼らの音楽に多幸感を感じるそうです。天上の音楽ではありませんが、ライブはきっと映画の副題「しあわせのようなもの」みたいな不思議な空間なのでしょう。
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