語彙の劣化2023年01月14日 18:47

昨年暮れ、大倉山に引っ越して以来長く通い続けた歯科医院から電話連絡がありました。二代目の若先生が急逝され、予約を含め当面診療ができないとのことで突然の訃報に驚きました。その時、無意識に「ご愁傷様です」という型通りの言葉が口を衝いて出たことを覚えています。
 このような言葉は、おそらく親と一緒に葬儀へ出たりしながら、社会生活での一般的な挨拶として習慣的に獲得するのでしょうが、大量消費社会や少子化などによる暮らしの大きな変化が、そうした言葉の習得機会を少しずつ奪ってきました。今回のコロナ禍はその方向を決定づけたような気がします。
 一方で圧倒的に増えたのは、匿名による揶揄や悪口雑言のたぐいです。SNSを中心にネット環境に現れる決まり文句は、本を読まないという生活習慣と一体となって、若い世代から豊富なボキャブラリーを奪い、語彙を貧弱化させています。たとえば、何でも縮約してしまうスラングまがいの日本語を多くみかけるようになりました。
 習合文化のこの国で正書法のない日本語は今も様々に変容しています。外国人学習者が新しく聞き覚えた日本語をどう使って良いのか悩むことが年々増えているようで、学習支援者としても一番困るところです。さらに、近年そこへ政治家の空語が重なってきました。雄弁がいいわけではありませんが、目を覆うばかりの惨状とも言える昨今です。

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