面の下の話2021年03月28日 18:48

久しぶりに録画視聴していた国内ドラマが終わった。宮藤官九郎脚本の『俺の家の話』。単発や短いシリーズ物は年に1,2本観ていたが、1クール10本全てというのは本当に久しぶりだ。“逃げ恥”以来かもしれない。能の宗家を飛び出してプロレスの世界に飛び込んだ長男を長瀬智也が演じている。宗家ということもあって、自宅のセットには短いながらも橋掛かりが付いた立派な能舞台が設(しつら)えられている。
 面を付ける能のシテとプロレスの覆面レスラーという“異形”の共通点を軸に、看護や終活という現代的なテーマを展開しながら、そこに“居ない・見えない”人が家族へ及ぼす様々な験(げん)をコミカルに描いた傑作だった。最終回に演じられた『隅田川』は、昨年生(なま)で観た唯一の演目でもあり、往時を思い起こして感慨深かった。