共有できる言葉2021年01月26日 11:00

地元の日本語教室で学習支援している外国人から日本語能力検定N2に合格したという嬉しい連絡が入った。こうした際、彼ら彼女らは、覚えた日本語の慣用句「…のおかげで」を使って感謝の言葉を伝えてくれる。もちろんのこと、合格したのは学習者の努力が全てである。それでも、そうした言葉を共有できる関係になれたことが、何よりありがたい。人に関わるボランティアならではの僥倖だと思う。
それは、付加価値を付けただけの形無きモノを電波を通じて顧客に届けるという“虚業”を通じて知ったこととつながる。実社会と関わりのない消費経済で膨れあがった新しい“成金”たちの出現によって、「…のおかげで」という言葉で交わされる人間関係は次々と押しつぶされていった。“非正規”とか“雇い止め”などという血の通っていない字句が当たり前のように広まっている世の中に、コロナ禍が一つの波紋を投げかけている。先日、録画を観たテレビ番組『COOL JAPAN 新春特集』の中で採り上げられた「JR鹿児島中央駅の手書きの卒業証書」はそのヒントかもしれない。