不適切なドキュメンタリー番組2022年01月28日 21:40

昔から「公正中立」なる言葉を信じていません。だから、それを標榜するメディア法人に就職した際、まずは関連する言葉を疑ってみることから始めました。最初に読んだ本は『事実とは何か』というジャーナリズム論です。そこには、何をどのように伝えるのかについて多くの示唆が載っていました。
 先頃、『河瀬直美が見つめた東京五輪』(NHK BS1スペシャル)という“ドキュメンタリー”番組の一部に“不適切”な字幕があったと話題になっていますが、事後説明が二転三転しています。その有り様を傍目で見ながら、当の、いかにも怪しげな男性に公式映画チームの担当監督自身が直に取材している切りとられた映像そのものが“事実”を雄弁に物語っていると考えています。
 この番組はオンデマンドで見ることができないようですが、いずれアーカイブされた資料から見事な検証番組が作られ「ベストテレビ」で放送されることを願ってやみません。