青天を衝くドラマ2021年06月17日 11:58

大河ドラマ『青天を衝け』がなかなか面白い。最初から通して見るのは『八重の桜』以来のことで、その前の『篤姫』や『新選組!』、さらに遡って『獅子の時代』と『花神』を加えれば幕末ばかりである。一握りの為政者が“活躍”した時代ではなく、近代を迎えた様々な人々がそれぞれの立場で“横議横行”した私史の集合のような混沌が社会を動かしていたからだろう。タイトルの「青天を衝け」はまさしくその時を表す言葉の一つに違いない。
 放送局に勤めながら帯ニュースにほとんど関わることなく過ごしたものであっても、メディアが現政権のチェック機能を放棄することには黙っていられない。だから、ドラマや教養番組のドキュメンタリーがその代替を担っていることを単純に良しとは思えないが、繰り返し再放送に堪えるような作品づくりに関わってきた経験から言えば、“批評”という意識がどれだけ社会にとって必要かは身に染みて知っている。
 ときの政権の政策を批判することを“忌避”するのはたやすい。しかし、この国が最も大きく前進した時代は、世の中に対する異議申立が拡がった時なのだ。中抜きという省力化した金儲けにいそしむだけの政商とその利益を貪る政治家が跋扈する社会は、消費税を含む税金や高額な社会保険料を何も言わずに黙って払い続けてくれる民衆がいてこそ成り立つ。そうした状態が続くかぎり青空の先は見えてこない。そして「論語と算盤」ならぬ「“五輪”と算盤」は、宣伝文句を替えて繰り返し行われていくに違いない。
 この夏、五輪に関わる一切の番組・イベントを無視するところから始めようではないだろうか。外国人と接したいなら、今この国に住む外国人と語らおう。私は毎週それを続けている。

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