正月に観る日本賞作品2018年01月02日 22:35

 普段から日常的にテレビを観る習慣がなくなって久しいが、それでも気になる番組は録画する。そうして思い出したようにそれらを観る。当然、番組が放送された時期との時間差が生まれるわけで、直近の流行を紹介するようなものにはそもそも近づかない。どちらかといえば個人的な関心ばかりを追うので、人の評価やランキングなどにも全く関心がない。それでも1年に数回、専門家が高く評価したテレビ番組を集中してみることがある。
 ひとつは、前年度の国内放送番組を対象にした各種コンペティションの最優秀作品をまとめた『ベストテレビ』。毎年9月前後にNHKのBSプレミアムで7〜8本がまとめて放送される。もう一つが、年末にEテレで放送される「日本賞」の受賞作品だ。以前は教育番組だけを対象にしていたが、2000年代後半からWebコンテンツなどにも対象を拡げるとともに、制作支援を目的としてプレゼンテーションを評価する企画部門も併設された。放送されるのは世代別カテゴリーに分かれたコンテンツ部門の最優秀作品で、ここ数年は授賞式の模様と一緒にまとめられている。
 元々の対象が教育番組でありEテレで放送されることもあって評判になることは少ない(ようだ?)。しかし、多くの人が長時間まとめてテレビを観る可能性の高い年末に地上波のチャンネルで放映することの意義は大きい。できれば、もっと広報してもらいたい番組だ。日本語の“教育”という表現が、児童・生徒を対象にした上から目線の態度から来ていることにも問題はある。「まるごと見せます!世界の教育コンテンツ」という副題では、敬遠する人も出るだろう。実際には、一般視聴者が観て、様々な社会問題を“面白く”理解するきっかけになる優れたコンテンツが多い。
 一方で、審査委員の多くが現役の制作者なので、似たような問題意識の作品が選ばれるきらいがないとは言えない。実際ここ数年は、自然やデザインなどに関する純“教育”的なアプローチより、“共生”をテーマにしたようなドキュメンタリーが多い。しかし、それは世界中に広がる様々な“差別”のありようを顕在化する試みの一環であって、どこの国にも共通した問題があるというよりは、民族・宗教・社会的格差の違いを超えたあたりまえの“考え方”が一般社会の中に育ち始めている証左なのかとも思う。
 だから、“小さな”声に耳を傾けるのが、あたかも世界の流行なのかと勘違いするほどの作品群が揃うのかもしれない。そういえば、例の伊藤詩織さんの事件は、暮れ近くなってから世界中で報じられているらしい。日本のメディアはどうするのだろか。