歴史から学ぶ意味再考 ― 2022年11月06日 23:41
以前、中野のモモガルテンという古民家カフェで続いた韓国勉強会の初期メンバーだった森田真奈子さんの署名記事です。この夏転勤で大津から横浜支局へ移った後も、引き続き熱心な取材を続けてきた事件が、京都地裁判決の確定で一区切りしたのを受けてまとめたものでしょう。歴史から学ぶということは、“知らない”事実を意識するところからしか始まりませんが、その入手をネットだけに安易に頼っていれば、この受刑者のような思考回路に陥ることもやむおえないのかも知れません。圧倒的な情報の非対称は、簡単に歴史を否定する風潮を拡げます。たとえば、テーマパークの開園で話題のスタジオジブリですが、その出版部が出している書籍の中には宮崎駿監督が敬愛する堀田善衛の作品も含まれます。その作家は、中国以外の作家で初めて南京大虐殺をテーマに小説(『時間』)を書いた人なのです。近代史に関わる様々な関心を繋いだ先に、私はようやくそのことを知りました。
皆既月食を眺めて詠める ― 2022年11月09日 23:42
秋憂(トホ)
国破会社在
使途笊抜多
憂時又職探
恨病咳驚心
邪宗三十年
家財消献金
薄給減租昇
全欲不帰灰
国破れて 会社在り
使途ざるにして 中抜き多し
時に憂いて 又も職を探し
病を恨んで 咳にも心を驚かす
邪宗三十年
家財献金に消える
薄給減って 租らは昇りし
全て灰に 帰(き)さざらんと欲す
特別な制度による人権侵害を描くためには? ― 2022年11月25日 23:43
2年ぶりに劇映画を観ました。会場は外光の反射が入る多目的ルームで、仮設したスクリーンの前に40席ほどのパイプ椅子が並びます。観たのは一昨年話題になった『海辺の彼女たち』。川崎市平和館の企画展「非平和展 女性」の関連イベントです。
上映前に会場近くに並べられた説明パネルを読みながら、今の時代に合った訴求力とは何なのかを考えていたせいでしょうか。その時間軸の延長線上で鑑賞してしまった映画は、評判ほどのインパクトを感じられませんでした。それは、おそらく私自身の感受性が落ちていることとも関係しているのでしょう。
映画は全編ドキュメンタリーのような撮影手法で撮られています。技能実習生として来日したベトナム人女性3人が不法就労に入って行った過程を丁寧に描いているのですが、何となく違和感が残りました。
ちょうど4年近く前に大倉山ドキュメンタリー映画祭の実行委員会で観た『祝福 ~オラとニコデムの家~』とはちょうど正反対の印象です。それは、この作品がドキュメンタリーでありながら、主要な登場人物の撮影のみによって、貧困や地域の因習、児童虐待のような普遍的な問題を見事に浮かび上がらせていたからです。
普遍とは“真逆”の「技能実習」という“いびつであいまいで特別な”制度によって縛られ、理不尽な立場に立たされる劇映画の登場人物は、その背景を十分に描かれることがないまま苦境に喘ぎます。もちろん観た後に、彼女らは何故そうした境遇にあるのかを知ることはできますが、そこに人間としての尊厳が侵されていることへの“怒り”が十分には感じられませんでした。
寄り添うだけでいいのかという“政治的”な判断を呼び起こされる気持ちになるのは、この国の大手報道機関への絶望の裏返しなのかもしれません。それが、今の率直な感想です。
上映前に会場近くに並べられた説明パネルを読みながら、今の時代に合った訴求力とは何なのかを考えていたせいでしょうか。その時間軸の延長線上で鑑賞してしまった映画は、評判ほどのインパクトを感じられませんでした。それは、おそらく私自身の感受性が落ちていることとも関係しているのでしょう。
映画は全編ドキュメンタリーのような撮影手法で撮られています。技能実習生として来日したベトナム人女性3人が不法就労に入って行った過程を丁寧に描いているのですが、何となく違和感が残りました。
ちょうど4年近く前に大倉山ドキュメンタリー映画祭の実行委員会で観た『祝福 ~オラとニコデムの家~』とはちょうど正反対の印象です。それは、この作品がドキュメンタリーでありながら、主要な登場人物の撮影のみによって、貧困や地域の因習、児童虐待のような普遍的な問題を見事に浮かび上がらせていたからです。
普遍とは“真逆”の「技能実習」という“いびつであいまいで特別な”制度によって縛られ、理不尽な立場に立たされる劇映画の登場人物は、その背景を十分に描かれることがないまま苦境に喘ぎます。もちろん観た後に、彼女らは何故そうした境遇にあるのかを知ることはできますが、そこに人間としての尊厳が侵されていることへの“怒り”が十分には感じられませんでした。
寄り添うだけでいいのかという“政治的”な判断を呼び起こされる気持ちになるのは、この国の大手報道機関への絶望の裏返しなのかもしれません。それが、今の率直な感想です。
BS再放送チャンネルの黄昏 ― 2022年11月28日 23:45
先週の衆議院予算委員会で、カタールW杯の放送権料について野党議員が質問したところ、NHKは「スポーツ放送権料を含めて業務の見直しや経費節減を進めている」が契約の内容や金額は守秘義務があるので答えられないと回答しました。「財源は「受信料」」だが、「限られた経営資源で放送サービスの価値をどのように最大できるかを検討している」と続けています。ちなみに契約した代理店は強制捜査が度々入るあの「電通」です。
膨大な軍事予算を始めとして、戦前のような権威主義国家を繰り返そうとする現政権与党の広報ばかりをニュースで流してきたものですから、「受信料」を税金か何かと勘違いして不誠実な官僚答弁そっくりになっているのでしょう。せっかくなので、日本チーム初戦当日の新聞のテレビ番組表を“ウオッチ”してみたところ、W杯一択に注ぎ込んだ番組制作費のしわ寄せで通常番組はズタボロです。来年度のBS波縮減を手前勝手に“先取り”し、BSPとやらはどうでもいいチャンネルに堕したようです。名称をBSR(BS Re-air)にでも変更したらいいのに…。
国民の暮らしが崩れ始める兆しもはっきり見えているこの時期に、それを真正面から取り上げようとしない(できない?)大手メディアの衰退を象徴するような眺めです。
膨大な軍事予算を始めとして、戦前のような権威主義国家を繰り返そうとする現政権与党の広報ばかりをニュースで流してきたものですから、「受信料」を税金か何かと勘違いして不誠実な官僚答弁そっくりになっているのでしょう。せっかくなので、日本チーム初戦当日の新聞のテレビ番組表を“ウオッチ”してみたところ、W杯一択に注ぎ込んだ番組制作費のしわ寄せで通常番組はズタボロです。来年度のBS波縮減を手前勝手に“先取り”し、BSPとやらはどうでもいいチャンネルに堕したようです。名称をBSR(BS Re-air)にでも変更したらいいのに…。
国民の暮らしが崩れ始める兆しもはっきり見えているこの時期に、それを真正面から取り上げようとしない(できない?)大手メディアの衰退を象徴するような眺めです。
自らを見直すことになる手直し ― 2022年11月29日 23:46
地元の日本語教室で担当している学習者の作文を添削し始めて1年半ほどになります。日本語教師のように体系だった知識の持ち合わせのない私は“ただのネイティブ”なので、できたものはあくまでも「一つの例」として示しますが、それでも、一緒に考えながら対話を重ねていく中で、学習者の作文が段々と上達していく様子を見るのは嬉しいかぎりです。
9月後半から加わったもう一人の学習者にも勧めたところ、同じレッスン仲間に刺激を受けたのか、当初は会話だけを希望していた人が、少しずつ書き始めるようになりました。
作文は事前にメールで送ってもらい、前日ぐらいまでに添削して送り返します。それぞれが、身近な話題から社会的な問題まで、外国語で表現する難しさを感じながら取り組んでいます。その時に、私が意識するのは一人称です。自分はどう考えるのかという自身の考えや想いをどのような字句や語彙によって表現するのかを、学習者と確認し直しながら検討します。
同時にそれは、一日本人としての自分を見直す場でもあります。彼女らの作文にはくだらない技巧はありません。真摯な言葉が並びます。だからこそ添削は難しい。
現政権の閣僚が棒読みする詭弁や、“有識者”とやらが出すお手盛りの言葉などとは対極にあります。その落差に呆然とする日々です。
9月後半から加わったもう一人の学習者にも勧めたところ、同じレッスン仲間に刺激を受けたのか、当初は会話だけを希望していた人が、少しずつ書き始めるようになりました。
作文は事前にメールで送ってもらい、前日ぐらいまでに添削して送り返します。それぞれが、身近な話題から社会的な問題まで、外国語で表現する難しさを感じながら取り組んでいます。その時に、私が意識するのは一人称です。自分はどう考えるのかという自身の考えや想いをどのような字句や語彙によって表現するのかを、学習者と確認し直しながら検討します。
同時にそれは、一日本人としての自分を見直す場でもあります。彼女らの作文にはくだらない技巧はありません。真摯な言葉が並びます。だからこそ添削は難しい。
現政権の閣僚が棒読みする詭弁や、“有識者”とやらが出すお手盛りの言葉などとは対極にあります。その落差に呆然とする日々です。