日めくりで廻る世界2021年07月10日 12:18

久しぶりに妙蓮寺へ行った。本屋「生活綴方」と石堂書店である。この1年半弱というもの、電車に乗って街から出ることが激減している状況で、おそらく最も多く訪ねたところの一つだ。ちょうど1年前にも『バウルを探して〈完全版〉』について書いている。
 今日は「ひとりみんぱく」と題したコレクションの展示が開かれていた。「地球の歩き方」をはじめ、辺境を中心に多くの旅行記を書き続けている松岡宏大氏が、旅先での交流で「贈られ、受け取ってきたもの」を集めたそうだ。リソグラフで作った図録もあったが、結局読まずじまいでコレクションだけ見てきた。新しいモノへ関心を持つ余裕が無くなっているのが少し残念である。
 ただ、その中で二つ、光背の中で踊っているカーリー神らしきもの(あるいはシヴァ神?)と、戦仕立ての人と牛のセット(?)が面白かった。勝手な解釈だが、歴史上の破壊行為を神格化したり、偶像にして残すのは、この地域が繰り返し多くの悲劇に見舞われてきた裏返しのような気がする。
 実は、今回の展示に関連して「生活綴方」ホームページで国立民族博物館特別協力の日めくり万年カレンダーが予約販売されていたので購入した。解説を執筆した17名の専門家の中には、昨年セルリアンタワー能楽堂で韓国の農楽を演じた神野智恵さんも名を連ねている。これから、めくりながらイニシャルが出てくるのを楽しみにしよう。

絶望的な近未来2021年07月10日 12:20

78年前の今頃、太平洋での開戦から1年半で既に後退を余儀なくされる事態になっても、インドネシアやマレー半島など軍事占領した地域を領土として編入し皇民化政策を推し進める御前会議が開かれていた。
 当時、アメリカ軍はマッカーサー率いる南西方面軍がブナから西部ニューギニアへ、ハルゼー率いる南太平洋軍がガダルカナル島からソロモン諸島へ、「Cart Wheel(車輪)」作戦と呼ばれる進撃を開始する。その迫間ニューブリテン島のラバウルや領域内の孤島から有効な反撃ができないまま、制海圏を失った日本軍は孤立し、後に、多くの飢餓と伝染病による膨大な数の戦死者を出すことになる。
 一方、日本国内では絶望的な戦況が隠されたまま、国立競技場で出陣学徒の壮行会が開かれる。それを、女子学生ほか5万人が観客席から見守ったという。地方でも同様に進められた出陣学徒の全容は不明で、その数は今も杳(よう)として知れない。
 歴史は繰り返す。