人間くさい造形を目指した俳優の死 ― 2024年10月18日 17:02
名優西田敏行氏が亡くなられました。日本を代表する俳優の一人であることは異論の余地の無いところなのですが、千変万化にキャラクターを演じ分けてきたことで、かえって代表作が何かと訊かれたら、百人百様の答えが返ってくるような気がします。猪八戒に始まり、『池中玄太80キロ』・『釣りバカ日誌』・大河ドラマ(徳川将軍から両西郷まで)など、数々のテレビドラマや映画でその特異な存在感を示してきました。
私が最後に観たのはおそらく『俺の家の話』の能楽師だったと思いますが、いわゆる正統派スターとは違う、人間的な親しみを強く感じさせる人物造形で他を抜きん出ていたように記憶します。そのせいでしょうか。私の場合、一番思い出深い西田敏行像は42年前の『淋しいのはおまえだけじゃない』の取り立て屋に遡ります。このドラマは、市川森一が第1回の向田邦子賞を受賞した名作でもありますが、その成功の要因は、西田敏行が演じた「沼田」という“いかがわしい”人物の造形にありました。故小沢昭一さんの影響もあって、芸能の中にある“いかがわしさ”という要素が私には何より重要なのですが、若い頃からそれを感じさせてくれる俳優だったのではないかと考えるのです。
そして、もう一本。こちらは私自身も映像技術で関わった単発ドラマ『山田が街にやって来た』。日英合作の作品ですが、西田敏行演じる日本語教師が“いかがわしさ”満載の主人公を演じています。
両作品とも一筋縄ではいかない“複雑な”人物が描かれるわけですが、そうした人間性こそ、今最も失われつつある豊かさの本質を象徴しているもののような気がします。西田さんの死はそのことを痛切に感じさせるだけに、とても淋しいのです。
私が最後に観たのはおそらく『俺の家の話』の能楽師だったと思いますが、いわゆる正統派スターとは違う、人間的な親しみを強く感じさせる人物造形で他を抜きん出ていたように記憶します。そのせいでしょうか。私の場合、一番思い出深い西田敏行像は42年前の『淋しいのはおまえだけじゃない』の取り立て屋に遡ります。このドラマは、市川森一が第1回の向田邦子賞を受賞した名作でもありますが、その成功の要因は、西田敏行が演じた「沼田」という“いかがわしい”人物の造形にありました。故小沢昭一さんの影響もあって、芸能の中にある“いかがわしさ”という要素が私には何より重要なのですが、若い頃からそれを感じさせてくれる俳優だったのではないかと考えるのです。
そして、もう一本。こちらは私自身も映像技術で関わった単発ドラマ『山田が街にやって来た』。日英合作の作品ですが、西田敏行演じる日本語教師が“いかがわしさ”満載の主人公を演じています。
両作品とも一筋縄ではいかない“複雑な”人物が描かれるわけですが、そうした人間性こそ、今最も失われつつある豊かさの本質を象徴しているもののような気がします。西田さんの死はそのことを痛切に感じさせるだけに、とても淋しいのです。