“タイパ”から離れる至福の時間 ― 2024年11月13日 17:21

お寺回りが続いています。先週末は遠出して八王子へ行きました。駅南の大通りを西へ向かって20数分、信松院という曹洞宗のお寺があります。武田信玄の息女松姫も祀られる観音堂の中でインド古典音楽を聴きました。
インドの楽器というと、あのラヴィ・シャンカールのシタールを連想しますが、今回はサントゥールとタブラの組み合わせでした。シタールは生音を聴いたことが数度ありますが、サントゥールは今回が初めて。その昔、藝大の小泉文夫氏が解説を務めたFM「世界の民族音楽」を聴いて、サントゥールの音色に魅せられたことがあります。渋谷桜丘のレコード店で初めて買った民族音楽のレコードは、レバノンの歌姫ファイルーズのアルバムと、イランのサントゥールでした。
さて、ラーガ(旋法)というインド古典音楽の様式を具体的に示す楽器サントゥールとタブラは、それぞれ単独で聴いても、その幻妙な響きに魅せられると思いますが、同時に行われるセッションでは、また一段と深い、ある種の超越的な広がりが感じられます。雅楽の笙や琵琶、タンゴのバンドネオンにもある倍音の響きが、幾重にも重なりながら拡がっていくようなイメージとでもいいましょうか。輪廻のような繰り返しは、少しずつ変調し、煙のように上昇していく感じもありますが、ジャズの即興にも似て、縁者の息が合う一瞬、あるタイミングで止まり、お互いの姿を確認しながらまた音楽は続くのです。
一日の時間帯で使うラーガが違ったり、7や10など複雑な拍子もあり、音楽のど素人には近づきがたい面もありますが、その演奏空間の不思議さを体験することにこそ意味があるのかもしれません。ちなみに観客のほとんどが女性でした。決まり切った日常から離れ、長い時間軸で物事を感じ考える機会を得られる点でも、“タイパ”社会から一時離れるその時間は現代人にとって何よりも貴重です。
インドの楽器というと、あのラヴィ・シャンカールのシタールを連想しますが、今回はサントゥールとタブラの組み合わせでした。シタールは生音を聴いたことが数度ありますが、サントゥールは今回が初めて。その昔、藝大の小泉文夫氏が解説を務めたFM「世界の民族音楽」を聴いて、サントゥールの音色に魅せられたことがあります。渋谷桜丘のレコード店で初めて買った民族音楽のレコードは、レバノンの歌姫ファイルーズのアルバムと、イランのサントゥールでした。
さて、ラーガ(旋法)というインド古典音楽の様式を具体的に示す楽器サントゥールとタブラは、それぞれ単独で聴いても、その幻妙な響きに魅せられると思いますが、同時に行われるセッションでは、また一段と深い、ある種の超越的な広がりが感じられます。雅楽の笙や琵琶、タンゴのバンドネオンにもある倍音の響きが、幾重にも重なりながら拡がっていくようなイメージとでもいいましょうか。輪廻のような繰り返しは、少しずつ変調し、煙のように上昇していく感じもありますが、ジャズの即興にも似て、縁者の息が合う一瞬、あるタイミングで止まり、お互いの姿を確認しながらまた音楽は続くのです。
一日の時間帯で使うラーガが違ったり、7や10など複雑な拍子もあり、音楽のど素人には近づきがたい面もありますが、その演奏空間の不思議さを体験することにこそ意味があるのかもしれません。ちなみに観客のほとんどが女性でした。決まり切った日常から離れ、長い時間軸で物事を感じ考える機会を得られる点でも、“タイパ”社会から一時離れるその時間は現代人にとって何よりも貴重です。