中秋節に考えること2022年09月11日 23:16

今日が中秋節ということで、一昨日、地元の国際交流ラウンジの中国人学習者から月餅をいただきました。この1年半、毎週のように作文を書いてもらい、その添削例を示しながら様々な日本語の表現について一緒に学んできましたが、最近では文法上の間違いを指摘することは少なくなり、より日本語らしいと思われる別の表現をこちらから提示することで、使える語彙を増やしたり、わかりやすい文章にするための工夫という段階に移ってきました。
 一方で、日本社会、特に政治家やマスメディアが使う表現の多くに“空語”が目立ってきて、大きな声に対する不信は募るばかりですが、外国語として日本語を学ぶ外国人との対話は、そこで交わされる双方向の言葉への信頼を一般社会以上に重く見なければなりません。それは、近い将来この国が外国人の存在無しには成り立たなくなるだろうという個人的見解とも通じます。
 入管や職質や技術実習で繰り返し行われる外国人への人権無視は、この国の衰退に力を貸すものであって、これを改めないかぎり、国際社会での孤立化は一層深まっていくことが避けられないでしょう。その点で、私が行っているような日本語学習支援は、ある意味とても“愛国的”なふるまいだと考えています。それは安倍晋三が忌み嫌った日本国憲法の前文を、社会の片隅で体現しているからに他なりません。

伝承される物語の背景2022年09月21日 23:18

近年、気候の温暖化に加え台風も影響して線上降水帯が頻発しています。昨日も、イベントの開始時間に合わせて出かける前に、雨雲の隙間を確認する習慣が幸いして土砂降りを避けることができました。
 JR横浜線で菊名から桜木町へ。紅葉坂の横浜能楽堂の地下にある第二舞台で開かれた「能」の事前講座に参加しました。主宰は「復曲能を観る会」。地域に根ざした演目のうち、長い間上演されてこなかった作品の発掘を続けている平塚出身のシテ方加藤眞悟先生ほか3名の方による同人組織です。天籟能でお馴染みの奥津健太郎さんも参加しています。
 演目はこの10月に国立能楽堂で催される『和田酒盛』。曽我物語に関わるエピソードの一つです。「仇討ち」で有名なこの作品は、多くの人々に語り伝えられた歴史的説話が10巻本からなる長大な文学に結実した中世の一大歴史物語ですが、戦後は伝統芸能を中心に伝承され、若い世代はほとんど知らないかもしれません。それが、ここに来て大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出てきた頼朝暗殺事件とも関わって、関心を持つ人が増えてきたのではないでしょうか。
 今回の事前講座では天籟能でも解説を務める保立道久先生が、物語の背景と、後日談のキーパーソンでもある曽我十郎祐成(すけなり)の愛妾「虎御前」について、史料から辿った説明を詳しく話して下さいました。流刑の頼朝を保護した伊藤祐親の遠戚内で起きた仇討ちは、御家人内部での不和がもたらした政治的な事件でもありました。一方、虎御前は京都とも縁の深い有力者が平塚宿の遊女(中世では相応の格式)との間に儲けた娘であり、仇討ち後は比丘尼となり慰霊の旅を重ねます。大磯で育った遊女は、今様や太子信仰にもつながりがあり、曽我物語が広く伝承される上で大変重要な存在だったようです。
 後半は天籟能同人の笛方槻宅聡さんによる能における「舞」と「唱歌」の解説。舞踊の“舞”は回転運動、“踊”は上下運動。イスラム教の旋回舞踊に見られるように、天上の神へ祈りを捧げながら一体化する動作は、神道の巫女舞とも通じます。その有り様は“憑依”にほかなりません。唱歌は八拍(ひとくさり)の流れを声に出して表現するもの。楽譜ではありませんが、囃子方を始め演者が協同するリズムを作り出します。“呂”や“干”などという旋律の表現も小さく表されます。お話しの後、演目『和田酒盛』に出てくる相舞(そうまい:二人以上での同じ舞)をシテ方同人三者と笛の実演で楽しみました。
 充実した内容の事前講座で、来月の公演への期待が一段と高まります。

平和という名の軍拡2022年09月21日 23:20

カルト宗教団体である統一教会の名称変更に関連して、以前から気になっていることがあります。それは、日本人が好きな「平和」という用語です。戦後まもない頃から70年代前半ぐらいまでは、朝鮮半島やベトナムなどアジア各地の地域戦争が続く一方で、戦争を体験した世代がまだ多かったこともあり、日々の暮らしの中にそれなりの実感を伴ってこの言葉が語られていたような気がします。しかし、高度成長が終わった頃からでしょうか。いつのまにか切実感が薄れると共に、当初の語義から遠く外れたものまでその名を使うようになりました。そして、同時にある言葉が消えていきます。
 「反戦」です。
 国民生活を蔑(ないがし)ろにして年々増え続ける“防衛予算”は、いずれこの国を軍事独裁国家に変質させる危険を孕んでいます。防衛白書に楠木正成像のイラストを載せるようになった“平和”国家など笑止ですが、彼らは安倍晋三の「国葬」がその地ならしの機会になると考えることでしょう。露払いは“家族”葬に儀仗隊を参列させたことでもう済んでいますから…。

達者でな2022年09月27日 23:22

昭和の名曲替え歌バージョン(実在の個人・組織とは一切関係ありません)
嘘にまみれてヨー 育てたカルト
今日は請われてヨー 式へ出るアーアー
オーラ オーラ はくしゃさん
オーラ オーラ 幕ひくな
あゝ幕ひくな
話す手元が ふるえふるえるぜ
俺が行くときゃヨー みんなも連れて
ともに歩いたヨー 票の道アーアー
オーラ オーラ はくしゃさん
オーラ オーラ 忘れるな
あゝ忘れるな
カネの俵を 重い思い出を
町のお人はヨー “あんな”だろうが
変わる暮らしがヨー 気に障るアーアー
オーラ オーラ はくしゃさん
オーラ オーラ まだ続く
あゝまだ続く
まずいくろがみ 消して消してやろ
 時節柄、高吟するのはお控え下さい。