まろうどへの言祝ぎ2019年04月07日 12:00

留学生の日本語学習を支援しているRKK(留学生と語り合う会)に入会して5年目の春は、初めて前年度と変わらないメンバーへの対応となった。大学院を卒業して社会人になった後も、引き続き日本語を含む日本文化・日本社会を学びたいという元留学生たちのために非留学生日本語学習会員という仕組みがあって、担当していた4人のうち対象となる2人が継続を申し出たからである。
 いずれも、修士論文の日本語チェックを中心に半年余りの学習支援であったが、その中で彼女らを通して知る日本という国の今の姿が、“なか”からだけ見ていては分かりにくい問題を多く抱えていることに気づかせてくれたように思う。一方で、地理的条件に恵まれて豊穣な文化をつないできた歴史を今に伝えている姿を、この土地に住み続けている者として、“まろうど”へ言祝ぐように話すことができたらどんなに良いだろうかと、この数年意識的に伝統文化への関心を広げてきた。
 それは、居丈高に語るようなものではなく、「○○スゴイ」という虚飾とも無関係な、平らかで、それでいて面白い話の“タネ(ネタ?)”になるような、自分自身の身体が感じたわずかな体験だったりする。もちろん、それは言葉だけでは伝わらないものも多いけれど、少し変わった日本人が何やら考え考え話す雰囲気から、もしかしたら普段接することのないこの国の基層につながるものを何か感じ取ってくれているのではないかと勝手に期待している。
 また、それとは少し異なるが、今月末に開くイベントを、既に卒業した留学生とのコラボレーションで行うことに、他の多くの留学生が関心を寄せてくれた。テーマそのものへの関心もあるかもしれないが、別の人生を歩んできた他国人同士が仕事や学校とは全く関係のない一つのことに取り組むことそのものに不思議な印象を持ったのではないかと考えている。
 ついこの間まで受講していた「gacco」(JMOOCの一種)の『教養としての言語論』には、「言語は私たちをまやかし生きにくくさせる」という副題が付いていた。言葉だけに頼らない全的なコミュニケーションのありようがこれからの生き方で重要な意味をもってくる気がする。花粉症をこじらせて喉を痛め、声が出にくくなっている現在の体調が余計それを強く感じさせているのかもしれないが…。

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