忖度しない雑誌2020年11月11日 14:49

定期刊行物を書店で購入し続けていたのは渋谷陽一の季刊『SIGHT』(ロッキング・オン)が最後である。以降、気になる特集(主に芸能関係)が目に付いた時だけしか雑誌は買わない。ただ、この10年以上読み続けている月刊誌がある。その名を『熱風』という。発行はスタジオ・ジブリ。はたして、どれだけの人が知っているだろうか。
 読み始めたのは2006年9月号から。金原瑞人さんの訳で、宮崎駿監督が書き下ろしを添えたロバート・ウェストール『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)が出た頃である。まだ渋谷の文化村通りにブックファーストのビルがあった。その6階か7階にジブリ発行の書籍コーナーがあって、レジカウンターで申し出ると1冊タダで貰うことができた。このビルがH&Mに代わってからはスクランブル交差点前のTSUTAYAで無料配布するようになった。その後、退職する少し前から年間購読し始め、かれこれ8年近くが経つ。その間、編集者の種々多様に拡がる“好奇心”にまかせるように毎回異なる特集が組まれてきた。その一方、ときに書籍化されるような連載記事もあった。いずれ刊行されるかどうかはわからないが、ジャーナリスト青木理のインタビュー構成「日本人と戦後70年」も連載50回を迎えた。
 毎回多彩なゲストを迎えているが、今号は元総務省自治税務局長だった平嶋彰英氏。2015年、生え抜き官僚として「ふるさと納税制度」拡充に省内を代表して疑義を唱え、当時官房長官だった現首相の菅氏から左遷されたと言われる人物である。過日の自民党総裁選で、内閣人事局はそのままに「反対するのであれば異動してもらう」とコメントした通りの結果である。インタビューの内容には触れないが、こうした人物を取り上げた連載記事をそのまま載せるのが『熱風』という雑誌の真骨頂である。現政権の本質について、実に興味深い話が出ている。置いてある数は限られるが、ジブリの書籍コーナーがある書店で無料で配っている。“小冊子『熱風』”で検索すれば、今号の概要とジブリ関連書籍常設店の一覧が確認できるので、関心のある方は是非手に取ってもらいたい。

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