オンラインに変わった「歩く文学」2020年10月03日 14:26

「歩く文学、ソウルから東京・福岡まで」という日韓交流イベントのオンライントーク部分のみに参加した。「文学」を通じて市民交流の場を広げ共感の輪を作りたいという企画だが、コロナ禍で一部はウェビナー(Webセミナー)となってしまい、顔の見えない一方通行のイベントになってしまったことが甚だ残念ではある。東京とソウルをオンラインで結ぶZoomミーティング画面に5人の登壇者が並んだ。東京は神保町のチェッコリが会場だったが、オンライン環境を含め、東京の方がなぜかとても緩い雰囲気だったのがとても印象的だった。
内容は、この欄でも紹介したことがある済州島の海女の詩集『海女たち』(ホ・ヨンソン著)にまつわる様々な話が中心になった。韓国社会を背景にした韓国女性作家の小説が次々と翻訳・出版される中では、ちょっと異質なこの本の翻訳者である姜信子さんが、20年来の懸案であったという経緯を簡単に紹介しながら、詩を日本語に置き換える“創造的”な仕事について、“歩く”ことから始まった自身の文学的軌跡と合わせて語った。一番低く、一番遠く、一番離れた所に生まれる言葉が自然に“声を伴う歌”となる具体例を映像で見せてくれたが、そこには“在日”というアイデンティティの揺らぎから様々なアプローチをしている同志の存在を強く感じた。
私がずっと気になっていた済州島の「海女抗日歌」も日本語字幕を背景に紹介されたが、“歌”は博物館で販売されているCDで少女たちが唱っているものだった。植民地下の済州島の海女たちの当時の平均年齢がどのくらいだったのかは知らないが、ヒット歌謡「東京行進曲」のメロディに乗せられた内地首都人への諷刺を含んだ歌詞を、搾取される自らの“声を伴う歌”にした海女たちの苦衷を想像する。

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