インド“満載”の雑誌2020年06月01日 11:37

『タゴール・ソングス』に出てきたバウルの楽器カマック(アナンド ラハリ)が気になって、Youtubeでいろいろ探してみた。“融通無碍”(ゆうずうむげ)な、その響きと朗誦をPCで聴きながら、過日届いた“紙”の雑誌を読んでいる。オンラインによる様々な試みが展開される中、少し前に“手作業”による雑誌作りのクラウドファンディングに参加していたのだ。ネットワークの時代に背を向けるような“手触り”のメディアを創り出す試みへの応援なのだが、その雑誌の創刊特集もまた“インド”だった。
 素朴な衣をまとったふくよかな体裁と、コミックを思わせる印刷の中に、コアな解説から体験記・コラム・写真などが混在している。それぞれの関わり方は違うけれど、共通するのはインドという“異世界での経験”である。本作りから、料理・哲学・ヨガ・IT・イノベーション・伝統芸能まで、この国ならではの何かが人を呼び寄せるのだろうか。雑誌全体に渡る細かな活字に少し閉口しながらも面白そうなものを拾い読みしていたら、装丁家の矢萩多聞さんが「ゴンベヤータ」と呼ばれる人形劇の話を書いていた。昨年、スクリーンで観た『台湾、街角の人形劇』を彷彿とさせるところがあってとても面白い。少し調べて見るとアジア各国の人形劇の公演が日本でも行われていて「ゴンベヤータ」も過去に来日していたようだ。その片鱗だけでも観たかった。インドは、この東アジアの辺境からみても、何かエキゾチックな雰囲気をまとっている不思議な国にみえる。