タレスケの独り言

川崎の武蔵新城から大倉山に引っ越して、かれこれ四半世紀近くになるが、地元の商店街もずいぶんと変わった。この小さな街にも様々なチェーン店が出店し、駅から西に延びる「エルム通り」のギリシャ風建築の並びにも、合間合間に、どの街にも見かけそうなロゴが目立つようになった。ましてや、東側のレモン通りは推して知るべしという状態である。かろうじて、昔からある菓子店舗の存在が往時の大倉山を偲ばせている。その一つ、レモン通りに面した「マ・ファボリット（Ma Favorite）」という洋菓子店でカミさんが久しぶりにケーキを買ってきたのはもう一月ほど前のことになる。
　毎日ハンドドリップで入れるブラックコーヒーには、「カレ・ド・ショコラ（Carré de chocolat）」という市販のシックなミルクチョコレートを合わせることが多いのだが、3月以降外出が減ったストレス解消にと、ほんのちょっぴり贅沢したつもりだったようだ。ケーキに似合う深煎りのスペシャルティコーヒーに添えるとちょっとしたフレンチレストランのデザートぐらいにはなる。この店のケーキの上品な味わいが、いつも以上にコーヒーの香りとコクを引き立たせてくれるのだ。
　そもそも、普段から外食は少ない方だが、今回のことでますます遠ざかっている。最近、SNSなどを通じ地元の食堂（定食屋）の存在を改めて意識するようになった。少し落ち着いたら一度ぐらい訪ねてみたい店も所々にあったので、甚だ勝手な希望ではあるが、何とか無事にこの災禍を乗り越えて経営が続けられるよう祈っている。