ヤジを守るメディア2020年04月30日 11:01

今年2月に放送されギャラクシー賞月間賞を受けたHBCのドキュメンタリー『ヤジと民主主義 ~警察が排除するもの~』の拡大版(46分)が制作され、先日(日曜深夜)放映された。その内容がYoutubeのHBC公式チャンネルで公開されている。
 昨年7月の参議院選挙において、札幌での安倍首相の応援演説中、ヤジを飛ばした男性や、反対の声を挙げた女子学生、プラカードを持っていた女性などが次々と警察によって排除された。現場を始め、問題が提議された道議会でも警察は法的根拠を明示できず、排除された人が提訴した地裁においても蓋然性の低い“言い訳”に終始している。同様の事例が他にない限り、政治的な中立性を保っているとはとても言えない。「走狗」という言葉が頭をよぎる。現場で撮影された多くの映像がそれを雄弁に示している。
 「誰かの権利が奪われることに無関心な社会は権力の暴走を許すことにつながる」というナレーションの後、番組は元道警幹部の言葉を次のように接いだ。
 「今回の場合、怖ろしいと思うのは、これをたくさんのマスコミのカメラのいる前で堂々とやったということです。あなたたち無視されたんです。法的な根拠のないことが平気で行われているんです、あちこちで。皆さんが知らないだけで。国民の権利がわからないところで、何て言うんですか。危険にさらされている部分があるんだよということを、皆さん方わかっていないんじゃないでしょうかね。」
 そして、「あの日、警察に排除された人達に対し、救いの手を差し伸べる人はいませんでした」と述べ、取材した当事者三人それぞれの言葉を流した。
「いや、ほんとに助けて欲しくて。何かずっと怖かったんですよ。なんで見ているだけ、撮っているだけなのっていう感じで。すごい悲しかったですね」
「日本社会の中で、その他とは違うものを冷遇するとかっていう風潮はやっぱり強まっているのかもしれませんけどね」
「私、そんなに先が無いと思うので、皆にもひとりでも気づいて行って欲しい。それが願いですよね」
 番組の最後はこう締めくくられた「ヤジすらも言えない社会になるのか。小さな自由が排除されたその先に待つものとは」。法律を守らない為政者を、法律では守れないという現実がそれを示している。

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