読書の学校 史記2020年03月04日 14:19


さて本日の読書は、NHK出版から刊行されたばかりの『読書の学校 史記』。Eテレで続いている「100分de名著」の放送番外編で、昨年11月に開成高校で行われた特別授業を書籍化したものである。講師の能楽師安田登さんは日本の古典に造詣が深いが、若い頃は漢和辞典の執筆にも関わったように元々は中国文学の専攻なので、甲骨・金文の読解を交えて『史記』の解説を始める。四字熟語の挿話で良く知られる司馬遷の『史記』が、実は複雑な歴史を紀伝体(同時並行的な史伝記述)で書いている点に着目し、AIを超えたシンギュラリティの到来に向けた新しい生き方への“問い”を高校生に投げかけている。それは、“検索”で答えが出るものとは真逆なところから突然現れることになるだろう。

下流志向?2020年03月04日 14:20

 就職して初めての転勤から東京へ戻った当時、その日の映像編集室の運用管理を担う仕事に多く就いた。そこで感じた違和感は、具体的な形を持たない“モノ”を創る仕事への姿勢の変化だった。簡単にいえば“時間意識の短縮”ということである。短期アルバイトから制作進行の職員まで、その“短慮”を感じることがいつのまにか増えていた。そんな時、渋谷のブックファースト4階にあった人文コーナーで『下流志向』という本に出会った。そして、社会の変化が「教育」に“特徴的”に表れていることを強く感じた。以来、この著者の言葉がいろいろとモノを考える上での一つの“標”となっている。
 今、何とも形容できない不安な気持ちがある。それは新型コロナウィルスの感染などではない。社会全体の急速な劣化により、“短慮”を象徴したような幼児性を持つ為政者がこの国を動かしているという現実からくるもので、これは一種のパラレルワールドなのではないかと疑いたくなる気持ちが日に日に強くなっている。