あらゆるところにあるハラスメント2019年12月26日 19:09

このところ、身近にあった様々な懸案がいくつか解決したこともあって、捨てずに残していた新聞を久しぶりにざっと見返してみた。先々週15日の1面記事に学生の緊急座談会が載っている。女性活躍・ハラスメント規制法の施行を前にして企業向けの対策指針案が公表されたのを受けて、パブコメを呼び掛けている学生を含む女子学生3人が自らの体験と指針案への意見を述べている。率直な物言いと語り口のままに疑問や感想が掲載されていて、1面記事ではあまり見られない大胆な構成に少し驚いた。3面に座談会の続きと解説があって、下請けのフリーランスを含む“働く以前”の“働き方改革”の矛盾や問題点を取り上げて、「若者の心をつぶす就活と決別すべき」だと締めている。
 その9日後、同じ1面で「就活生らを対象とすべきだ」とする公募意見が反映されないままの指針を厚労省の審議会が正式決定したと報じている。労働政策へのパブコメが通常の30倍近い1139件にも上ったが、そのほとんどは無視され、パワハラ加害者の刑事罰や採用企業への損害賠償など、責任の対象となることから逃げる経済界の意向ばかりが残る結果となった。
 日本語の学習を支援している海外からの留学生にも日本での就職を視野に就活を進めている人が増えている。経験も知識も乏しい私には、所属しているNPOが知らせてくれる情報の提供や、エントリーシートの日本語チェックぐらいしかできないが、彼女らが同調圧力の強いこの国の精神風土に育った企業人と顔を突き合わせて過ごす日々は、さぞ大変なことだろうと想像することはできる。おそらくは、一服の清涼剤にもならないが、少しは気を許せる程度の人間関係を作った結果、卒業し就職してからも非留学生日本語学習会員としてレッスンを継続することになった背景には、この国で仕事を探し、仕事を続ける上での対人ストレスが強く存在することも関係しているのだろう。
 ましてや、雇用をちらつかせてハラスメントを行う“オヤジ”どもが日本人の若い就活生に向ける態度は、ビザが更新できずに“不法滞在”状態となった外国人に向ける入管職員の「暴力」にもつながる、みじめな権威主義の恥ずべき姿に映る。