命の水を引いた人2019年12月05日 18:59

 中村哲さんを殺したのは、襲撃犯であり、自動小銃を与えた者であり、それを売った者であり、作った者らである。また、“集団的自衛権”の名の下に海外派兵を認めた者らでもあり、それを止めなかった同国民でもある。そして、殺されたのは一人中村哲さんだけではなく、戦後を貫く憲法の平和主義もまた殺された。

 今のNHKに中村哲さんを追悼する資格があるかどうかはとりあえず置くとして、ETV特集の再々放送が明日深夜にあるので紹介します。これを「ニュースウオッチ9」とやらいう今最も重大な問題を“ウォッチ”しない“報道”番組の時間帯に放送するのであれば、少しは追悼する気持ちがあるものと感じられるのですが…。

「桜を見る会」開催にからんだ現職総理の“疑惑”について、検察が何も動かず、“公共放送”が何も報じないことについて、海外メディアはこの国の“異様”な状況を報じ始めています。外国人留学生にこのディストピアをどのように説明したら良いのか私も言葉に詰まります。日本は国際的な信用を簡単には取り戻せないぐらい失いました。中村哲さんの死は、この国の闇の時代を象徴するものとして、末長く世界中で語られ続けることになるでしょう。