多文化共生への一歩一歩2019年10月07日 18:26

もう、先週のことになるが、日比谷公園で開かれた「日韓交流おまつり」の開会式前後を少しだけ覗いてきた。日比谷駅の公園正面出口から入場したときは、全体にまだそれほど混雑もしていなかったが、今期から(?)飲食物がチケット制になったようで、現金交換所には人の列ができていた。何か登録すると景品をもらえる観光公社などのブースにも人混みが集中していたが、とりあえず、無料のパンフレットなどを少しもらいながら、現金決済ができる奥の書籍ブースに向かった。
 この日の午後、外苑前にあるギャラリーで開かれている別の絵本原画展を訪ねるつもりだったので、自然とブースの角に置いてあった絵本に眼が行って、粘土細工の人形で構成された歌の絵本を購入した。日本ではペク・ヒナさんの粘土細工による作品がとても“風味”があって人気だが、こうした絵本をクレイアニメーションにしたらどんなに素晴らしいものになるだろうかと、クオンの金承福さんにないものねだりをしてしまった。
 一応にぎやかしのつもりだったのだが、やはり人混みが苦手で、1時間も経たないうちに退散した。後から聞いた情報によれば、JENESYS(対日理解促進交流プログラム)の大学生も来て、昨年並みの参加者だったという。日本語ボランティアの関係もあって高校生・大学生の交流ブースには寄ってみたが、両国参加者がもっとじっくり話し合える場があると良いかと思う。
 その翌日、関内の開港記念会館で開かれた中区多文化フェスティバルに参加した。横浜市中区周辺は全国でも指折りの外国人集住地域だけに日常的に外国人と接する機会も多いはずなのだが、近年は観光客の増大もあって、その実態が見えにくいところがある。一方で、外国につながる子どもたちの数は着実に増えていて、学校を中心とした教育現場では日々多文化共生の課題と向き合い続けている。そうした現状を少しでも知るという意味でもこうしたイベントは重要だが、実際には参加者の多くが関係者に留まっているという印象をぬぐえない。歴史的建造物である開港記念会館のバリアフルな構造も多少は影響しているかも知れないが、地域社会に済む外国人との親密な交流が日本語教室を中心とした範囲をなかなか超えることができない傾向は、これからの少子化社会で外国人と暮らしてゆくハードルを下げる工夫がもっと必要だということだろう。その一例として、外国につながる若者たち自らの行動を彼ら自身が記録して発表したドキュメンタリー映画の上映は確かな一歩になっていると感じた。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://amiyaki.asablo.jp/blog/2019/10/07/9197272/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。