ショートショートの魅力2019年06月09日 13:49

その昔、できたばかりの頃は一体どんな道だっただろうかと想像してみる。そんな気分になったのは、交差点の角に近い山陽堂に立ち寄ったせいだ。2階のギャラリーには書店創業当時からの歴史が地図と共に紹介されていた。1890年頃までは厚木街道の面影が色濃く残っていた青山通りに、その後市電が通り、明治神宮の創建に合わせた参道が東側に作られた。それが今や、戦災を超えた木も一部残る欅(けやき)並木の外側には、私でも知っている海外有名ブランドと、聞いたこともないアルファベットの小洒落(こじゃれ)た店がびっしりと並んでいる。大正天皇が生きていたらさぞ驚くことだろう。
 その参道の真ん中辺り、昔の同潤会アパートがあった跡地に建った「表参道ヒルズ」に二日間通った。正確に言えばその地下3階にある「スペースオー」というイベント会場にである。ここで開かれた「ショートショートフィルムフェスティバル(SSFF)&アジア2019」の計六つのプログラム、合計32本の短編映画を観た。SSFFとしては21年、ASIAを足して16年になるという国際短編映画祭である。私がこの映画祭を最初に知ったのは赤十字が「戦争と“生きる力”」と題したサポートプログラムを提供しているのを知って以来で、今年でまだ3回目だ。
 ごく一部を除き大半のプログラムが無料である。Peatixというネット上でイベント管理を行うWebページで予約するが、昨年まで観に行っていた横浜での上映会を含め今まで会場が満席となったことは無かったので、当日でも鑑賞できる。二日目に開場待ちをしていてスタッフに声を掛けられた時、思わず「こんな素晴らしい映画祭に何故もっと人が入らないのだろう」と尋(たず)ねたぐらいである。米国アカデミー賞の公認映画祭として多数のスポンサーも付いている。そうでなければ都心の一等地で何日間も開催できるはずはないのだ。
 なぜなのか。一つには様々な問題への関心の低さがあるのだろうか。世界130カ国の1万本から選ばれた200本。取り上げるテーマから問題意識、視点、表現まで随分と違う。その多様さに耐えられないのか。Youtubeの動画と比べ、平均すれば20分程度の作品を最低4本、短ければ7本ぐらい続けて見ることへの拒否感でもあるのか。もちろん平日の午後だから仕事で観られない人は多いだろう。しかし学生など若者が目立たない。何より通行人が溢れている表参道の街灯にはSSFFの旗がたくさん翻(ひるがえ)っているのに…。とても残念なことである。
 さて、今年はオンライン会場と銘打(めいう)って過去の分を含む一部の作品が無料で視聴可能になっている。SSFF&ASIA2019で検索してみて欲しい。

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