声に出して読みたい時2019年05月19日 12:45


初めて訪ねたのが一昨年の3月だった。金原瑞人さんが出している小冊子が置いてある小さな本屋として知ったことを、このFacebookでも紹介した。しばらく間が空いた昨年の11月、「大人のおはなし会」という朗読会に参加したのがきっかけで、その後隔月に1回ぐらいに“緩く”開催されるその会へ毎回出席している。
 聴くだけでもかまわないが、ほとんどの人が何かしら持ってきて交互に読む。子どもたちを相手にした朗読、いわゆる「読み聞かせ」を続けている人が多く、中には暗誦する人もいる。出席者のほとんどが女性であるのは、参加する前から予想していたことではあるが、やはり面映(おもは)ゆい。ただ、今までにも韓国語の語学教室などで似たような経験はしているから、それなりに免疫はできていた。
 今までに朗読したのは『声に出して読みたい日本語』、『空と風と星と詩』、『最初の質問』、『平家物語』など。いずれも思いばかりが先走って人に聴いてもらえるようなものではないのだが、男性参加者が少ないということもあり、物珍しさでかろうじて認められているというのが実態だ。このままではやはり恥ずかしいので、7月に開催される大学の公開講座「初めての朗読」(全3回)というのを受講して、少しはましなものにするべく勉強するつもりである。
 そもそもは、留学生の日本語学習を支援する中で、豊穣な語り芸を持つ日本語の素晴らしさを少しでも伝えられたらという興味からだったが、当然のことながらネイティブならできるというものでもなく、あまりの下手さに身が凍りつく思いも経験した。声を出すことそのものも難しいが、その言葉が身体を使って発せられたものに聞こえない。そのせいか、近頃聞く、公的立場に立つ者のあまりの言葉の軽さ、そして幼さには驚かされる。将棋の駒ではないけれど、“吹けば飛ぶような”言葉になっていないかを自ら顧みる良い契機になった。そうとしか言いようがない。

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