いのちをつむぐこと2019年05月07日 12:36

先日、先月1日時点の人口推計で、日本在住の14歳以下の子どもが前年より18万人減り、総人口に占める割合が1950年以来で過去最低の記録を更新したという。しかも3歳毎の層に分けると年齢が下がるほど少ないそうだ。しかも、この数字は外国人を含む。
 内閣府が掲げる少子化対策のページでは“合計特殊出生率”と“生まれる子どもの数”が一緒にグラフ化されている。“合計特殊出生率”は上がっているが、“生まれる子どもの数”は減り続けている。しかし、49歳までをも出産可能とするこの“特殊”な“出生率”は、そもそも人口の自然増減を地域別に比較する場合の参考とするものだ。子どもを産む年代の女性人口が減っているのだから、民間の総研が案じるように、母親の“生まれ年別の累積出生率”が下がり続けていることに本質的な問題がある。しかし、それに対する危機感は薄い。
 指標となる統計そのものが信じるに価するかはとりあえずおくとして、子育てをする環境が年々悪化していることだけは、私のように子どもがいない人間にも様々な情報として届く。たとえば、日本語学習を支援している元留学生の修士論文は“日本での妊娠・出産・育児の困難について”がテーマだった。
 経済的な面だけをみても、配偶者の年間収入の減少傾向にも関わらず第3号被保険者の年間130万円未満という収入条件を見直す様子はないし、厚生年金のパートへの拡大で、フルタイムの7割近く働いた結果として新たに差し引かれる保険料の影響も大きい。何より労働対価としての賃金が低すぎる。その一方で、専業主婦の年金減額も検討されていると聞く。相応の教育費を組み入れた子育てに必要な“お金”を、今後どのように確保するかに悩まない夫婦はいないだろう。
 “いのち”をつむぐことそのものへの関心と、それを社会的に包容する態度、経済的に支援する実質的な対策が充実していかないと、もう少子化は止まらない。それは、大人の“幼児化”と軌を一にしているように見える。

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