うなる文化交流使2018年08月02日 14:20


 一昨日、新宿三丁目へ出かけて、ある「文化交流使」の私的な(?)帰朝報告会を聴いてきた。文化庁から指名を受けて今年度7カ国1ヶ月半に及ぶ公演・交流旅行を終え帰国した浪曲師と曲師が出演する“土産話と浪曲”の会である。
 嵐で壊滅した漁船団の家族を地域ごと支えたという天保水滸伝「飯岡助五郎の義侠」の一席に続き、なんと今回の旅を道中語りに仕上げた一席が披露された。40人ほどが肩を寄せ合うようにして入った小さな会場は馴染みの客で埋まり大変な盛り上がりようだった。“文化交流”ということもあって各国で催された浪曲公演の他に、その土地の民族芸能や語り芸などとの競演やワークショップも紹介されたが、それぞれに興味深いものだった。
 その中には、今回の往訪以前にわかっていたものもあれば、現地で初めて知ったものもあるそうだ。前者にはキルギスの「マナス」があり、後者にはウズベキスタンの「バクシ」があった。「マナス」は、伝統の家に生まれた子供が、ある日突然夢の中で神託を受け翌日から壮大な叙事詩を歌い出すという憑依性の高い芸能で、連続するストロングボイスで圧倒するような歌唱である。一方「バクシ」は、二弦の撥弦楽器ドンブラを奏でながらの“語り芸”で、紹介映像に出ていたのは継承者の一人という若者だった。構造のせいか西アジアの弦楽器に特徴的な音色がする。しばらく演奏した後、鳴らしては語るという形式で“話”が始まり、しばらくすると突然低音を響かせた声で歌い出す。口内で響かせる唄い方はホーミーを思わせた。
 他にも、浪曲路上ライブの模様や、日本人抑留者への慰霊の一節、中央アジアのコリアンが“北”で学んだ高音の「アリラン」など盛りだくさんの内容で、あっという間の2時間だった。
 帰宅してから「バクシ」をネットで探してみたら、名のある老師匠のような人の演奏を見つけることができた。奈々福さんがキルギスで節比べをしたというマナスチ(マナスの語り部)グルザラさんの映像と合わせ、関心がある方はご覧あれ(下記の「 」の中をYoutubeの検索ボックスにコピペ)
・「ГУЛЗАДА РЫСКУЛОВА - АЙКОЛ МАНАС」
・「''Malla savdogar'' dostoni - Abdunazar Poyonov」

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